2016/07/21

ページの端(pisforpage超短編)■魔女母娘 【サイト未・なろう済

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 小二の頃、隣の借家に魔女っぽい母娘が引っ越してきた。
 母親は玄関先で娘の首にマフラーを巻いて何か短い呪文のような言葉を口にする。娘も同じ言葉を繰り返す。

 仲良くなったら何と言っているのか聞こうと思ったのに、俺が盲腸で入院してる間に隣はまた引っ越してしまった。

*~*~*

 何年も経ってから英語の授業で、英語ではくしゃみをした人に"Bless You"というんだと教わった。
 あの家族は外国人だったんだろうか。
 もう顔もはっきりと思い出せない母娘のことを、そんな風に考えた。

*~*~*

 更に何年も経った今年。
 模試の会場で後ろから聞こえた声にはっとした。

「フーチフーチ」

 これだあっ!
 全然英語じゃなかった!
 見知らぬ女子にとびつくようにして話しかける。

「それ何!?」
「えっ、風池? 首の後ろのツボ。ここあっためると風邪ひかないの」

 ……子供時代の魔法が色あせ、当たり前の景色に変わった瞬間。

「っていうか坂下くんだよね?」
 どこかで見たような顔の彼女が笑う。

 心臓がドキドキする。
 視界のホワイトバランスに補正が入る。
 
 俺は新しい魔法にかかったみたいだ。